南高梅

和歌山県のみなべが原産で、花は白色一重で2月上旬から下旬に開花します。果実の大きさは大粒で平均25~35g。皮が柔らかく果肉が厚く、干し梅としては最高級品です。果実の色は緑色ですが、完熟になるにつれて黄色味を増し、日光のあたるところは鮮やかな紅色に変わります。開花後の寒さに強く、豊産性もあるので風土に適し、最優秀品種と認められ県の推奨品種、国の農林種苗登録品種になりました。

南高梅の花

南高梅

みなべの代表的な梅

みなべでは南高梅が栽培面積の約7割を占め、ついで受粉樹が2割、古城が1割となっています。

受粉樹とは、花粉が多く実梅との相性もよい品種で自家受粉できない(自らの花粉では結実しない)南高梅などに受粉用として栽培されています。受粉樹には小粒南高、西川、小玉、小梅などの品種があります。

古城は、花は白色一重で開花期はやや遅く、収穫期は6月上旬から始まります。果実の大きさは25~30gくらい。果実の色は緑色で、果肉は厚く種は小さく、対病性があり青梅としては一級品です。和歌山県下で多く栽培されている品種で、梅酒やジュースに適しています。

みなべの代表的な梅

生産量

南高梅の発見と優良品種の選定

南高梅の原木

明治35年、元上南部村長の長男 高田 貞楠は、近所で購入した梅の実生苗(※1)60本の中に、粒が大きくて、美しい紅のかかる豊産の優良種が1本あることを発見しました。これを母樹(高田梅)として大切に育て、種子を播いて梅栽培に専念しました。
昭和6年、農業経営を志す小山 貞一は、貞楠の育てた高田梅の原木から穂木(※2)を譲り受け、苦労を重ねながら高田梅を継承していきました。

※1 実生苗:種子を播いてそのまま育成した苗木のこと。※2 穂木:つぎ木用に母樹から切り取った枝のこと。

梅の優良品種の統一

昭和25年、梅の優良品種を統一して市場の安定を計るため、当時の上南部農業共同組合長だった谷本 勘蔵は、「梅優良母樹調査選定委員会」の設立を提案しました。委員長に南部高校園芸科教諭の竹本 勝太郎、委員に小山 貞一、糸川 国太郎、中本 留吉、中松 文太郎、日置 文蔵が就任し、優良種とされる37品種を対象に、5年間にわたる詳細な調査を実施しました。この調査には南部高校園芸科の生徒も実習として協力し、優良品種はしぼられていきました。

7系統の優良品種を選抜

昭和29年、調査の結果、「白玉」「改良内田」「薬師」「地蔵」「高田」「養青」「古城」の7系統が選抜され、その中でも「高田梅」は、最も風土に適した最優良品種との評価を受けました。南部高校の生徒達の5年間にわたる地道な調査協力が評価され、優良品種に選ばれた7品種とともに高田梅は「南高」と命名されました。

「南高」の種苗名称登録の認可

昭和38年、選定委員会で最優秀に選ばれた梅「南高」は、高田 貞楠の名前で農産種苗法第9条の規定により種苗名称登録(※)を出願し、昭和40年10月29日、登録第184号の名称登録が農林大臣により認可されました。

※種苗名称登録:新品種の育成者の功績を称え、その権利を保護し、育種の振興と新品種の普及を目的として昭和22年に設けられた制度。その品種がまったく新しく、優れた特性を持っているかについて厳しい審査を受け、農林大臣の認可を得て登録されます。昭和53年までに登録された梅は、「南高」「龍峡小梅」「玉英」のわずか3品種だけでした。

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